12/21 勉強会

【研究報告】

担当:高橋

タイトル:変形性膝関節症へのラパマイシン投与はHIF-2α発現を抑制できるか?

要旨

  • 目的:変形性膝関節症モデルラット(DMMラット)に対し,mTOR阻害剤であるラパマイシンを投与し,mTORがHIF-2αを介したアポトーシス経路に関与するかについて検証することである.
  • 方法:Wistar系ラットを対象に,右膝関節にDMM処置,左膝関節に対しSham処置(sham-control)を実施した.mTOR阻害剤であるラパマイシン(1mg/kg/day)は腹腔内に4週間投与した.サンプリング後,サフラニンO染色および免疫組織学的検討に供した.
  • 結果:mTORの阻害により,OA様の関節軟骨の破壊とアポトーシスの抑制が認められた.また,HIF-2αの発現は,軟骨変性進行部位では殆ど認められず,周辺細胞での高発現が認められた.
  • 考察:mTORの抑制により,アポトーシスの発現を抑制したことから,mTORは軟骨細胞の生存に関与することが推察された.また,軟骨変性が進行した部位でHIF-2αの発現が低下していたことについては軟骨細胞がすでに死細胞になっており,これから変性やアポトーシスが進行する周辺細胞で高発現していたと考えられる.

 

【文献抄読】

担当:中川(昌)

タイトル:Continuous passive movement does not influence motor maps in healthy adults

要旨

  • 目的:運動マップはMAPボリューム,MAPエリア,COG(center of gravity)をパラメータとして,脳における再構成の1つの指標として使用される.母指の反復的な他動運動による運動マップの変化を検証する.
  • 方法:対象は健常成人13名とした.経頭蓋磁気刺激法(TMS)は運動マップ作製時とHOT SPOTより運動誘発電位(MEP)を導出する際に使用した.対象筋は右短母指外転筋(APB)とした.母指対立運動を30分実施し,運動速度はランダムに変化させた.また,速度変更時の変化に対する反応時間を注意課題とした.運動マップとMEP計測は1日目から3日目と8日目に行い,1日目から3日目のみ運動介入を行った.統計は介入前後を比較した.また,運動マップパラメーターにpre運動マップと注意課題が与える影響を調べた.
  • 結果:介入前後においてHOT SPOTより導出したMEP振幅値と,運動マップパラメーターに有意な変化は見られなかった.また,Pre運動マップと注意課題は運動マップパロメータ―に影響を与えなかった.
  • 考察:母指の他動運動はAPBに対応する運動マップに影響を与えなかった.その理由として,他動運動を用いた先行研究と比較すると,対象筋の違いと運動介入期間が短期間であったことが要因と考える.