11/9 日本基礎理学療法学会予演会

【日本基礎理学療法学会予演会

担当:佐々木

タイトル:陽極および陰極経頭蓋直流電流刺激が反復随意運動課題後のPost-exercise depressionに与える影響

要旨

  • 目的:本研究の目的は,10分間のtDCSが2分間の反復随意運動課題によって誘発されるPost-exercise depression(PED)に与える影響を明らかにすることであった.
  • 方法:本研究には,健常成人10名が参加した.介入は,一次運動野への陽極または陰極tDCS(2 mA, 10分)と右示指の反復随意運動課題(20%_MVC, 2 Hz, 2分)とした.介入は,陽極tDCSのみ実施(条件1),陰極tDCSのみ実施(条件2),運動課題のみ実施(条件3),陽極tDCS開始8分後に運動課題開始(条件4),陰極tDCS開始8分後に運動課題開始(条件5)の5条件であった.介入効果の検証には,TMSによって誘発されるMEPを用いた.MEPは介入前(pre)と介入後の1-8分(post 1-8)のそれぞれで計測し,磁気刺激強度はMEP振幅値が1 mVを導出する強度とした.
  • 結果:条件1において,pre(1.00±0.05 mV)と比較して,post 1-2(1.26±0.10 mV)でMEP振幅値の有意な増加が認められた(P < 0.05).一方で,条件2ではMEP振幅値の有意な変化は認められなかった.条件3では,pre(0.92±0.04 mV)と比較して,post 1-2(0.73±0.06 mV)でMEP振幅値の有意な減少が認められた(P < 0.05).条件4および条件5においては,post1-2でMEP振幅値の有意な変化は認められなかった.
  • 結論:2分間の反復随意運動課題によってPEDが誘発されることと,そのPEDは,10分間の陽極および陰極tDCSによって消失することが明らかになった.

 

担当:中川 昌樹

タイトル:機械的触覚刺激の刺激ピン数の違いが体性感覚誘発電位に及ぼす影響

要旨

  • 目的:手指先端に対する触覚刺激によって大脳皮質感覚運動関連領野から体性感覚誘発電位( SEP)が記録できる.本研究では刺激ピン数の違いとSEP振幅値との関係を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:対象は健常成人10名であった.機械的触覚刺激装置による1ピンと8ピンの刺激後に誘発されるSEP振幅を比較した.SEPは,多チャンネル脳波計を利用し,頭皮上C3およびP3から記録した.刺激提示時間は2 ms,刺激頻度は1.5 Hz-1.6 Hzに設定し,刺激部位を右示指先端とした.刺激はランダムに提示し,それぞれ500回の波形を加算平均した.
  • 結果:機械触覚的刺激時の振幅値は,1ピン条件に比べて8ピン条件ではC3およびP3において,N1/P1とP1/N2成分のSEP振幅値が有意に増大した.( p <0.05)
  • 結論:機械的触覚刺激時のSEP振幅値は,刺激ピン数に応じて変化し,1ピン条件に比べて8ピン条件でC3およびP3においてSEP振幅値が増大することが明らかになった.

 

担当:中川 弘毅

タイトル:伸張性筋収縮及びstreptomycin投与の脛骨骨量並びに三次元骨梁構造に及ぼす影響

要旨

  • 目的:一度の伸張性筋収縮の実施並びに1週間のstreptomycin(SAチャネル阻害剤:Str)投与の骨量及び三次元骨梁構造に対する影響について,若齢期と高齢期において検討することを目的とした.
  • 方法:若齢期(2ヶ月齢, n=16)及び高齢期(2年齢, n=18)雄性ラット34匹を対象とし,各々age-matched control群(Cont),伸張性収縮群(ECC),ECC+Str投与群(ECC+Str)にグルーピングした. ECC実施2日後に脛骨を採取し,三次元マイクロCTを用いて撮影し,骨量(BV/TV),骨梁立体構造及び骨梁形態をそれぞれ計測した.
  • 結果:若齢期及び高齢期ともに,処置側及び標準化骨密度はCont群,ECC群,ECC+Str群間で有意な差は見られなかった.骨梁構造を反映する指標である骨梁幅,骨梁数,骨梁間距離,骨梁連結密度,骨梁の形態を示すStructure Model Indexも3群間で有意な差は見られなかった.
  • 結論:一度だけのECC実施および1週間のstreptomycin投与は,骨量,三次元骨梁構造及び骨梁形態に有意な影響を及ぼさない可能性が示された.