9/7 勉強会

【研究報告】

担当:横山

タイトル:座位と立位姿勢の違いによる両側上肢屈曲運動時の肩甲骨と脊柱の動態

要旨

  • 目的:反復した上肢挙上や頭上での作業は,肩甲骨と脊柱の機能障害により肩峰下インピンジメントを引き起こす.頭上での作業はほぼ立位で行われるが,脊柱と上肢挙上の関連性を見た報告では測定姿勢が座位であり,姿勢変化による脊柱と肩甲骨の動きの違いは不明である.本研究は,座位と立位の違いによる上肢屈曲運動時の上肢,肩甲骨,脊柱の動きの関係性を見ることを目的とした.
  • 方法:被験者は健常成人男性3名とした.開始姿勢は,上肢を体側に下垂し股・膝関節を90度にした座位と,足を肩幅に開いた立位とした.課題動作は開始姿勢より肩関節最大屈曲,最大屈曲から開始姿勢に戻るまでとした.3次元動作解析装置にて胸・腰椎棘突起上,上腕,肩峰上に貼付した反射マーカーを計測し,肩関節屈曲角度,肩甲骨上方/下方回旋・内/外転角度・前/後傾角度,胸椎,腰椎の曲率半径を算出した.課題動作開始から課題動作終了までを100%時間正規化した.また,それぞれのセグメントごとの運動タイミングを示すPhase angleを算出した.
  • 結果:胸腰椎曲率半径の可動範囲は,立位では胸椎0.4-0.8m,腰椎0.3-0.4m,座位では胸椎0.4-1.6m,腰椎0.6-0.8mで,座位が大きかった.また両姿勢ともに胸椎と肩甲骨外転運動に直線関係が認められた.立位では,上肢運動開始直後より上肢と腰椎の動きが同じタイミングで起こり,上肢最大挙上付近で胸椎の伸展運動が急速に起こっていた.一方座位では,上肢運動開始直後より,上肢,胸椎,腰椎の運動が同タイミングで起こっていた.
  • 結論:本研究は,座位と立位の違いにより胸椎,腰椎の可動範囲が異なり,上肢,胸椎,腰椎の運動タイミングも異なる事が明らかとなった.さらに胸椎と肩甲骨外転角度に直線関係が認められた.従って,肩関節の治療を行う際は,肩関節のみではなく姿勢の違いを考慮して脊柱の動きやセグメント間のタイミングを含め評価する必要がある.

 

【文献抄読】

担当:山代

タイトル:Transcrainal direct current stimulation can enhance ability in motor imagery task

要旨

  • 目的:先行研究において手のメンタルローテーション課題中(HMRT)に運動関連領野が賦活することが示されている。経頭蓋直流電気刺激法は非侵襲的に適用した脳部位の興奮性を増すことができる。本研究の目的は、HMRT中のtDCSの効果について検討することである。
  • 方法:被験者は18人tDCSとsham tDCSの前後にHMRTと単純反応時間課題を実施した。tDCSとsham tDCSは左の運動野に1mAで10分間適用した。
  • 結果:tDCS後にtDCS前よりHMRTの反応時間が有意に短縮した。
  • 結論:これらのことからtDCSはHMRTのパフォーマンスを高めることが指摘された。