5/25 第50回日本理学療法学術大会予演会(1)

【第50回日本理学療法学術大会予演会】

担当:江玉

タイトル:踵骨を動かした際のアキレス腱線維束に加わる伸張度の違いについて

要旨

  • 目的:踵骨を回内・回外方向に動かした際にATを構成する腱線維に加わる伸張度を,捻れのタイプ別に検討すること.
  • 対象: 先行研究を参考にATの3つの分類(TypeⅠ:軽度,TypeⅡ:中等度,TypeⅢ:重度の捻れ)を1側ずつ(合計:3側)使用した.
  • 結果:どのタイプにおいても共通して,回内時にはSolは伸張,MG・LGは短縮し,回外時にはSolは短縮,MG・LGは伸張された. TypeⅢ(重度)では踵骨の回内時にSolの伸張度が最も大きくなり,更に構成する腱線維の伸張度が異なった.
  • 考察・まとめ:TypeⅢではAT障害の発生リスクが高まる可能性が示唆された.

 

担当:玉越

タイトル:脳出血後のスキルトレーニングがAMPA受容体サブユニットと興奮性および抑制性ニューロンに与える影響

要旨

  • 目的:本研究では、脳出血後のスキルトレーニングが、大脳皮質感覚運動野におけるAMPA受容体サブユニットと興奮性および抑制性ニューロンに与える影響について検討した。
  • 方法:コラゲナーゼ注入法を用いて左線条体出血モデルラットを作製した.実験群はSHAM群,脳出血+非運動群,脳出血+スキルトレーニング群とした.スキルトレーニング実施群は,5課題のアクロバティック課題を術後4日目から28日目まで実施した. Forelimb Placing testとPostural instability testを用いて前肢の感覚運動機能評価を経時的に実施した.リアルタイムPCR法を用いて術後14日目と29日目における大脳皮質感覚運動野(前肢領域)のAMPA受容体サブユニット(GluR1-4)とvGlut1, GAD67のmRNA発現量を解析した.
  • 結果:両側感覚運動野におけるICH+AT群のvGlut1とGAD67のmRNA発現量がICH群より有意に高値を示した.両側感覚運動野におけるICH+AT群のAMPA受容体サブユニットのmRNA発現量がICH群より有意に高値を示した.
  • 考察:脳出血後のスキルトレーニングは感覚運動機能の回復を促進させる効果があることが分かった。これは、傷害側の大脳皮質感覚運動野におけるAMPA受容体の全サブユニットの増加と、興奮性ニューロンと抑制性ニューロンの活動増大が寄与していると考えられる。

 

担当:高林

タイトル:歩行速度とウィンドラス機構の関連性-3DFoot modelによる検証-

要旨

  • 目的:ウィンドラス機構(WM)とは,足指背屈により内側縦アーチ角度が挙上することで足部の剛性が高まり,蹴り出し時の推進力を生み出すものである.本研究は,歩行速度とWMの関連性について明らかにすることを目的とした.
  • 方法:健常成人男性6名を対象に,通常歩行,低速歩行,超低速の3条件の課題動作をトレッドミル上にて実施した.足部に貼付された15箇所の反射マーカー位置より,WMの指標である内側縦アーチ角度と母趾背屈角度を算出した.なお,アーチは低値であるほど高アーチを示す.また,ピアソンの相関係数を用いて2つの変数の間の関連性を評価した.
  • 結果:歩行速度の増加に伴い,内側縦アーチ角度は高アーチ,母指背屈角度は増加していた.さらに,通常歩行速度では強い負の相関係数を示した(r = -0.91).
  • 結論:歩行速度とWMには強い関連性があり,歩行速度増加にはWMの向上が必要である可能性が示唆された.