4/13 勉強会

【文献抄読】

担当:小丹

タイトル:短時間末梢神経電気刺激が皮質脊髄路興奮性に与える影響

要旨

  • 目的:短時間の末梢神経電気刺激が皮質脊髄路の興奮性に与える影響について検証すること.
  • 方法:対象は同意が得られた健常成人15名とした.末梢神経電気刺激は電気刺激部位を右尺骨神経,刺激頻度を50 Hzおよび200 Hzの2条件とし,運動閾値の110%の刺激強度で5秒間の刺激を行った.皮質脊髄路の興奮性の評価には経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位(Motor evoked potential; MEP)を用いて,右第一背側骨間筋よりMEPを記録した.
  • 結果:介入前後のMEP振幅を比較すると,50 Hz条件ではMEP振幅に変化認められず,200 Hz条件では介入後にMEP振幅の有意な増大が認められ,その増大は2分間持続した.
  • 考察:200 Hz条件では介入後にMEP振幅の有意な増大が認められ,その増大は2分間持続していた.このことは5秒間の末梢神経電気刺激が皮質脊髄路の可塑的変化を誘導したことを示唆している.Keller らは体性感覚野にtetanic刺激を50 Hzの刺激頻度で5秒間刺激を与えるとシナプス長期増強(Long term potentiation; LTP)が誘発され,刺激頻度および刺激時間を増加させることによりLTPが増大すると報告している.本実験より,200 Hz条件において介入後にMEP振幅の増大が認められたのは,周波数に依存するLTPの特徴を反映しているのではないかと考えられた.

 

【文献抄読】

担当:岩波

タイトル:The effect of somatosensory input on motor imagery depends upon motor imagery capability

要旨

  • 目的:運動イメージ能力とテニススイングの運動イメージに対するラケット把持の体性感覚入力の影響の関連を明らかにすること.
  • 方法:17名のテニスプレイヤーを対象に,フォアおよびバックスイングの運動遂行とグリップ(フォア・バック・把持なし)を組み合わせた8課題を設定し,心的時間測定法を実施した.
  • 結果:イメージするスイングと把持するグリップの一致条件では運動イメージが向上させ,不一致条件では運動イメージが低下した.この傾向はバックスイングのイメージ時により大きかった.
  • 考察:運動イメージ能力が低い対象者が不慣れな動作をイメージする場合,道具把持時の体性感覚入力が運動イメージをより鮮明かつ正確に想起させるのに役立つ可能性が示唆された.