4/6 European conference on evidence based aquatic therapy予演会
【European conference on evidence based aquatic therapy予演会】
担当:佐藤
タイトル:Water immersion modulates sensory and motor cortical excitability
要旨
- 浸水(Water immersion; WI) は、水による体性感覚入力によって様々な生理学的変化を引き起こす。その特徴を利用し、浸水や水中での運動が健康づくりやリハビリテーション分野で活用されている。中でも、OA患者における日常生活動作の困難性の低下や虚弱高齢者における介助量の減少など、運動学習に関与する機能変化が報告されている。にもかかわらず、浸水が中枢神経活動に及ぼす影響については、ほとんど報告されておらず、特に浸水時の脳活動については不明であった。我々の研究グループでは、fNIRS、EEG、TMSなど、ヒトの脳活動を非侵襲的に計測できる機器を用いて、浸水環境における脳活動の解明およびその応用について研究を進めており、その経過を報告した。
- fNIRSを用いた研究では、浸水がS1、PPC、M1、SMAといった感覚運動関連領野の活動を高めることを明らかにしたものの、直接的に神経活動を捉えたものではないため、EEGを用いて改めて検証した。その結果、浸水環境において、SEPのP25およびP45成分のgating が認められたことから、浸水が感覚野(S1およびPPC)の活動および感覚情報処理過程を変化させることが示された。次に、TMSを用いて、感覚運動統合および一次運動野の興奮性に対する影響を検証し、SAIおよびLAIが減弱することが明らかとなり、浸水は感覚運動統合に影響することが示された。一方、一次運動野の興奮性については、浸水のみでは変化しないことが明らかとなった。
- 次に、水を用いた新たな可塑性誘導法として、whole-hand Water Flow Stimulation(whole-hand WF)を開発し、その効果を検証した。その結果、15分間のwhole-hand WFによって、M1のcorticospinal excitability、intracortical excitabilityが高まることが明らかとなり、whole-hand WFがM1の可塑的変化を誘導することが示された。この結果より、whole-hand WFは運動学習やリハビリテーションの一助となる可能性が示唆された。