3/16 勉強会

【研究報告】

担当:玉越

タイトル:脳出血後のスキルトレーニングが運動機能回復および中枢神経系に与える影響

要旨

  • 目的:本研究は脳出血後のスキルトレーニングが運動機能回復および中枢神経系に及ぼす影響について検討した.
  • 方法:コラゲナーゼ注入法により左線条体出血ラットを作製した.脳出血後に運動しない群,スキルトレーニングを行う群,SHAM群を設定した.スキルトレーニングを行う群には、脳出血後4日目から28日目までアクロバティック課題を実施した。前肢の感覚運機能を経時的に評価した。トレーニング終了後に脳を採取し、リアルタイムPCR法を用いてAMPA受容体サブユニット, NMDAサブユニット, MAP2, BDNF, GAP43のmRNA発現量を解析した.
  • 結果:脳出血後にスキルトレーニングを行った群は前肢の感覚運動機能を有意に改善させ、傷害側感覚運動野のAMPA受容体サブユニットのmRNA発現量を有意に増加させた.また、MAP2およびBDNFのmRNA発現量を有意に増加させた.
  • 結論:脳出血後のスキルトレーニングによる前肢感覚運動機能回復は,傷害側のAMPA受容体サブユニット,MAP2, BDNFのmRNA発現量が関与していると考えられる.

 

【文献抄読】

担当:髙橋

タイトル:Establishment of a reliable and reproducible murine osteoarthritis model

要旨

  • 目的:変形性関節症モデルマウスにおける重症度の個体差を減らし,治療の効果検討をする際の信頼性および再現性の高いモデルを作製すること.
  • 方法:DMMモデルマウスの飼育条件を通常ケージ群,狭いケージ群(活動制限群)に振り分けた.さらに,活動制限群はトレッドミル走行なし,400,800,1200m/day (15m/min) の4群に振り分け運動負荷量を規定した.介入期間は0,2,4,8週間としサンプリングを実施した.また,ヒアルロン酸(HA)の関節内投与の検討として,通常ケージ群,活動制限群(400m/day)の膝関節に対し,HA投与群とSaline投与群に振り分け,0,2,4,8週後にサンプリングを実施した.OAの重症度判定は,OARSIスコアを用い半定量的に解析した.
  • 結果:通常ケージ群に比べ,活動制限群では有意に個体差(SD)が減少した.また,400m/day群は漸次OAスコアが増加した.しかし,800,1200m/dayの群は運動介入2週目から,急峻なスコアの増大を認め,介入後4-8週の間では,有意差は認められなかった.HA投与の効果として,通常ケージ群においては,HA投与の効果を示す傾向は認められたが,個体差が大きく,統計上有意な差は認められなかった.一方,活動制限群(400m/day)においては,HA投与2,4,8週目の全ての期間においてOAスコアが有意に低値を示した.
  • 考察:OAモデルマウスを用いるにあたり,活動量を厳密に規定することで,より信頼性および再現性の高いモデルが作製可能であることが示唆された.