1/19 勉強会
【研究報告】
担当:高井
タイトル:一次運動野領域への経頭蓋直流電流刺激が頭蓋内血流動態に与える影響
要旨
- 目的:1 mAで20分間の一次運動野(M1)へのtDCSが,刺激中および刺激後に両側半球の運動関連領野における頭蓋内血流動態に与える影響を経時的にとらえること.
- 方法:右M1へのtDCSが電極直下および同側頭蓋内血流動態に与える影響の検証(実験1),右M1へのtDCSが対側頭蓋内血流動態に与える影響の検証(実験2)の2つに分け,安静3分の後,20分間の刺激(anodal条件,cathodal条件,sham条件)を行い,その全行程でNIRSによる経時的な酸素化ヘモグロビン濃度の計測を行った.
- 結果:tDCSにより脳血流内O2Hbは変化した.tDCS同側の運動関連領野では,O2Hbはsham条件よりもcathodal条件で有意に増加し,cathodal条件よりもさらにanodal条件で有意に高値であった.tDCS対側の運動関連領野では,cathodal条件のみで有意に減少していた.
- 考察: tDCS同側の運動関連領野におけるO2Hbの増加は,興奮性介在ニューロンと抑制性介在ニューロン各々の活動にともなうものであったと考えられる.極性による差異には,興奮性介在ニューロンと抑制性介在ニューロンの物理的な量や,anodalとcathodalで異なる電流密度,tDCSが血管径に与えた影響が関与した可能性がある.対側運動関連領野で,cathodal条件時にO2Hbが減少した原因は明らかでないが,全脳的なネットワークの変化に伴う血流の分配があった可能性が考えられる.
- 結論:tDCSはanodal条件cathodal条件ともに,電極直下の領域のみならず,その他の皮質領域の脳血流に対しても広く影響することが示された.
【文献抄読】
担当:玉越
タイトル:Effects of repetitive transcranial magnetic stimulation on synaptic plasticity and apoptosis in vascular dementia rats
要旨
- 目的:本研究は脳血管性認知症モデルラットに対する低頻度rTMSが海馬のアポトーシスおよびシナプス可塑性に与える影響について検討した。
- 方法:脳血管性認知症モデルラット(2VO)を作製し、低頻度rTMSを実施した。Morris Water Mazeを用いて記憶機能評価を行った。海馬のLTPを解析するために電気生理学的評価を行った。アポトーシス関連蛋白(Bcl-2, Bax)とシナプス関連蛋白(NMDAR)の発現解析を行った。
- 結果:低頻度rTMSによって記憶機能障害が改善した。海馬では、低頻度rTMSによってLTPが改善した。また、NMDAR発現量およびBcl-2発現量が増加し、Bax発現量が減少した。
- 結論:本研究から脳血管性認知症モデルに対する低頻度rTMSは海馬のアポトーシス抑制とシナプス可塑性を促進する効果があることが分かった。