佐藤らの論文がJournal of Neurophysiology誌に受理されました

Authors: Sato D, Yamashiro K, Onishi H, Baba Y, Shimoyama Y, Maruyama A.

Journal: Journal of Neurophysiology
Title: Whole-hand water flow stimulation increases motor cortical excitability: A study of transcranial magnetic stimulation and movement-related cortical potentials

概要:本研究では,高密度・高粘性である水の特徴を利用した流水刺激(40l/min)を15分間,手部に呈示すると,一次運動野の皮質脊髄路興奮性と皮質内興奮性が高まり,さらに運動中の運動準備電位と運動電位が増大することを明らかにしました.この結果は,流水刺激を一定時間呈示することが,脳を運動のし易い状態にする可能性を示唆しています.

要旨

  • 目的:手部への流水刺激が安静時および運動時の一次運動野の興奮性を高めるか否かを検証した.
  • 方法:本研究は,実験1-6で構成された.

(実験1)流水刺激によって手部の筋(FDI筋・ADM筋)がどの程度振動しているかを,ピエゾセンサを用いて計測した.

(実験2-3)流水刺激・静水刺激・コントロール条件の前後にMEP recruitment curveを計測し,皮質脊髄路興奮性に対する影響を検証した.実験2ではFDI筋,実験3ではADM筋からMEPを導出した.

(実験4-5)流水刺激・静水刺激・コントロール条件の前後に短潜時皮質内抑制(SICI)および皮質内促通(ICF)を計測し,皮質内興奮性に対する影響を検証した.実験4ではFDI筋,実験5ではADM筋からMEPを導出した.

(実験6)流水刺激の前後に運動関連脳電位(MRCP)を計測し,運動準備・遂行期の脳活動(BP,NS’,MP,P+300)に対する影響を検証した.動作は,FDI筋が主動筋となる示指外転運動とした.

  • 結果:流水刺激呈示後にFDI筋における皮質脊髄路興奮性,皮質内興奮性が増大した.また,流水刺激呈示後にBP,NS’,MPの振幅が増大した.
  • 結論:本研究で開発した流水刺激は,安静時・運動時の一次運動野の興奮性を高めることが示唆された.