江玉らの論文がScandinavian Journal of Medicine & Science in Sportsに受理されました

Authors: Mutsuaki Edama, Masayoshi Kubo, Hideaki Onishi, Tomoya Takabayashi, Takuma Inai, Erika Yokoyama, Watanabe Hiroshi, Nashimoto Satoshi, Ikuo Kageyama

Journal: Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports (in press)
Title: The twisted structure of the human Achilles tendon

要旨:アキレス腱(AT)は,腓腹筋内側頭(MG)・腓腹筋外側頭(LG),ヒラメ筋(Sol)の筋腹が付着する各腱線維束から構成され,その腱線維束は捻れ構造をしていることが報告されている.しかし,捻れの程度に関しては一定の見解が得られていない.そこで本研究の目的は,ATの捻れ構造をMG,LG,Solの付着する腱線維束レベルで検討して,その形態学的特徴を明らかにすることである.対象は,日本人遺体60体111側(平均年齢:77.7 ± 11.6歳,男性77側,女性34側)を対象に肉眼解剖学的手法を用いて検討した.ATはMG・LG,Solの付着する各腱線維束が互いに捻れながら融合しており,ATを頭方から見て右側では左側方向へ,左側では右側方向への捻れ構造を呈していた.捻れの程度により,MGが踵骨隆起の表層外側2/3,Solが深層全体に配列し,LGが外側中央部に挟まれているものをTypeⅠ(least:50%),MG表層外側1/2~2/3,LGが深層外側1/2~2/3,Solがその他の内側部に配列するものをTypeⅡ(moderate:43%),MG表層外側1/3,LGが深層全体,Solが表層内側2/3に配列するものをTypeⅢ(extreme:7%)の3Typeに分類できた.更に各線維束を細かく分離していくと,MGは,全てのTypeにおいて比較的平行に走行しているのに対して,LGとSolは,特にTypeⅢにおいては強く捻れながら踵骨隆起に付着していた.更に,Solの捻れの部位はATの踵骨付着部から近位3-5cmの部位であった.また,性差や左右差は認められなかった.本研究結果は,捻れ構造の機能的役割やアキレス腱障害などの発生メカニズムの解明のための基本データとしての役割が期待できる.