12/8 勉強会

【研究報告】

担当:小丹

タイトル:短時間末梢神経電気刺激による皮質脊髄路興奮性の変化

要旨

  • 目的:短時間の末梢神経電気刺激が皮質脊髄路の興奮性に与える影響について検証すること.
  • 方法:対象は同意が得られた健常成人10名とした.末梢神経電気刺激は電気刺激部位を右尺骨神経,刺激頻度を50 Hzおよび200 Hzの2条件とし,運動閾値の110%の刺激強度で5秒間行った.皮質脊髄路の興奮性の評価には経頭蓋磁気刺激によって誘発される運動誘発電位(Motor evoked potential; MEP)を利用した.刺激部位は左一次運動野手指領域とし,右第一背側骨間筋よりMEPを記録した.
  • 結果:介入前後のMEP振幅を比較すると,50 Hz条件ではMEP振幅に変化認められず,200 Hz条件では介入後にMEP振幅の有意な増大が認められ,その増大は2分間持続していた.
  • 考察: 200 Hz条件では介入後にMEP振幅の有意な増大が認められ,その増大は2分間持続していた.このことは5秒間の末梢神経電気刺激が皮質脊髄路の可塑的変化を誘導したことを示唆していると考えられた.動物実験において一次運動野の興奮性シナプス後電位(EPSP)を記録した先行研究では,体性感覚野にtetanic刺激を50 Hzの刺激頻度で5秒間刺激を与えるとシナプス長期増強(Long term potentiation; LTP)が誘発され,刺激頻度および刺激時間を増加させることによりLTPが増大すると報告されている(Keller, 1991).本実験において50 Hz条件の介入前後でMEP振幅に有意な差は認められず,200 Hz条件において介入後にMEP振幅の増大が認められたのは,周波数に依存するLTPの特徴を反映しているのではないかと考えられた.

 

【文献抄読】

担当:椿

タイトル:Acute exercise stress reveals cerebrovascular benefits associated with moderate gains in cardiorespiratory fitness

要旨

  • 目的:心肺系フィットネスが脳灌流および脳血管機能に及ぼす影響を明らかにすること.
  • 方法:活動的な男性12名,運動しない男性12名を対象に,安静時および運動時の右中大脳動脈血流速度,左前頭葉酸素化ヘモグロビン(cO2Hb),脳血管抵抗(CVR),脳血管伝導指数(CVCi)を比較した.
  • 結果:脳灌流および脳血管機能は,安静時において差はなく,運動時において活動的な群が高かった.
  • 結論:中強度の心肺系フィットネスは,運動時の急性反応に違いをもたらす.