12/1 勉強会

【研究報告】

担当:岩波

タイトル:手のメンタルローテーション課題と運動機能との関連

要旨

  • 目的:手のメンタルローテーション(MR)課題と単純反応課題を実施し,MR課題の反応時間に対する上肢機能の影響を検討すること.
  • 方法:右利き健常成人9名(男性9名)を対象に手のMR課題と単純反応課題を実施し,反応時間を計測した.
  • 結果: 反応時間は,手のMR課題では左右の画像間に有意差があったが,単純反応課題では反応時間に有意差がなかった. また,手のMR課題の反応時間と単純反応時間で有意な相関関係を認めた.
  • 考察:手のMR課題の反応時間は,脳内情報処理過程と実際にボタンを押す運動により成り立つが,左右上肢の運動機能差の影響ではなく,左手・右手の情報処理の違いによりMR課題の反応時間に左右差が生じる可能性が示唆された.また,運動イメージ想起能力が実際の運動能力に関連する可能性が示された.

 

【文献抄読】

担当:佐藤

タイトル:Short-latency afferent inhibition modulation during finger movement

要旨

  • 目的:運動準備(pre-movement),開始時(phasic),継続時(tonic)における短潜時求心性抑制(SAI)の変化を検証した.
  • 方法:S1-S2パラダイムを用いて,単純反応課題中の各局面において,正中神経刺激および皮膚刺激によるSAIを測定した.また,脊髄興奮性を評価するために,f-waveを測定した.conditioning刺激の強度は,運動閾値とし,test刺激の強度は,1mVのMEPを誘発する強度および1.2RMTの二種類とした.
  • 結果:pre-movement,phasic,tonicすべての局面で,restと比較してSAIが有意に減弱した.f-waveの振幅は,phasicおよびtonic局面において有意に増大した.
  • 結論:運動中(phasic,tonic)のSAI低下には,脊髄興奮性の増大が関与しており,運動準備(pre-movement)でのSAI低下は,皮質レベルで生じていることが示唆された.