9/29 勉強会

【研究報告】

担当:小丹

タイトル:Effect of peripheral nerve electric stimulation on motor cortex excitability: A TMS study

要旨

  • 目的:間欠的末梢神経電気刺激が一次運動野の興奮性に与える影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:対象は健常成人12名.電気刺激部位は右正中神経とし,刺激強度は運動閾値とした.(実験1)間欠的電気刺激介入として,30Hzの刺激周波数で4秒間通電した後6秒間休息するパターンを10分間繰り返した.介入前および介入後20分間の運動誘発電位(MEP)を計測し経時的なMEP変化を解析した.(実験2)実験1と同様の刺激パターンで,刺激周波数を10Hz,30Hz,100Hzの3種類設定し,介入前後の単発MEPおよびSICI,ICFを比較した.
  • 結果:実験1では,介入終了後13分間MEPの有意な増加が認められた.実験2では,30Hz条件において単発MEPの増加,SICIの減弱,ICFの増加が認められた.
  • 結論:末梢神経電気刺激により一次運動野の興奮性は可塑的に変化し,刺激頻度に影響を受けることが明らかとなった.

 

【文献抄読】

担当:高橋

タイトル:The Role of Muscle Loading on Bone (Re)modeling at the Developing Enthesis

要旨

  • 目的:生後直後における腱-骨付着部形成の(リ)モデリングに筋収縮(力学的ストレス)が必要であるか不活動マウスモデルを用いて検証した.
  • 方法:生後直後マウスの棘上筋にBotoxを注射し不活動モデルマウスを用いた.実験1では,生後14, 28, 56日目の各時期における付着部の骨形成パラメーターについて検討した.実験2では,破骨細胞の働きを抑えるアレンドロネートを用い,その投与量別に各種パラメーターを生後28日目の付着部を検討した.骨形成および骨吸収パラメーターについては組織形態学的検討をおこない,骨構造パラメーターおよび筋量についてはμCTによる画像解析を用いた.
  • 結果: 実験1の骨形成パラメーターは,骨石灰化面の生後14日目でのみBotox群がNormal群に比べ有意に低値を示した.実験2の骨形成パラメーターおいて,骨石灰化面は全ての投与量で有意に高値であり,骨形成速度は中投与量が最も高値を示した.骨吸収におけるBotox群の破骨細胞面は投与量に依存して有意に漸増した.各骨構造パラメーターは投与量が増加にともない,改善を示したがNormal群と同程度まで回復しなかった.筋量は全群において有意差がみられなかった.
  • 考察:不活動により骨吸収が高いまま維持され,骨形成には影響を及ぼさないことから,生後直後の不活動はリモデリングではなくもモデリングに影響を与えると推察された.また,不活動初期における骨形成筋収縮による力学的ストレスは,初期の軟骨内骨化の働きに重要な過程であることが示唆された.アレンドロネート投与により,不活動による破骨細胞の働きの一部がレスキューされ,上腕骨頭の骨構造の改善が認められた.