9/8 日本体力医学会 予演会
【日本体力医学会予演会】
担当:桐本
タイトル:固有受容感覚情報の違いが短潜時求心性抑制に及ぼす影響 ‐筋力制御と肢位制御‐
要旨
- 背景:静的筋収縮時の負荷形式には,不同の物体を牽引する筋力制御課題(FcT)と,外力に抗して肢位を保持する肢位制御課題(PcT)とがあり,PcTではⅠa群感覚神経からα運動神経ループへの興奮性入力がFcTより大きい.
- 目的:本研究では,末梢神経刺激後に生じる一次体性感覚野から(S1)一次運動野(M1)への抑制性入力(短潜時求心性抑制(SAI))の違いを両課題間で比較した.
- 方法:10名の被験者が右示指外転位20°で最大筋力の10%を保持するFDIの静的収縮を両課題で行った.筋収縮時に左M1へ経頭蓋磁気刺激(TMS)を行い,運動誘発電位(MEP)をFDIより記録した.TMSに先行した右正中神経電気刺激の間隔(ISI)は,感覚誘発電位のN20の潜時 + 0,2 msとした.筋収縮時に1 mVのMEPが記録される強度にて,単発TMS,2種類のISIによる感覚運動複合刺激をランダムな順序でそれぞれ8回行った.
- 結果:ISIがN20 + 0及び2 msの条件で,PcTのMEP振幅は安静時及びFcTと比較して有意に増大した. 単発TMSにより生じたMEP振幅に課題間の有意な差は認められなかった.
- 結論:PcTにおけるMEP振幅の増大はSAI機能の減弱を意味し,これにはPcTではIa群感覚神経を介した固有感覚情報をより多く必要とすることが関与したと考えた.