要旨:
本研究では,全身への流水刺激が大脳皮質一次運動野の興奮性に及ぼす影響について経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて検証した.8名の成人男性を対象に,15分間の浸水介入を行い,介入前,介入後,15分後,30分後,45分後にTMSを用いて,一次運動野の興奮性評価を実施した.介入内容は,1) 静水条件(whole-body water immersion),2) 流水条件(whole-body water stimulation)の2種類を設定し,被験者毎にランダムに行った.一次運動野の興奮性評価として,single-pulse TMSによるMEP,paired-pulse パラダイムによる皮質内抑制(SICI)および皮質内促通(ICF)を用いた.その結果,whole-body water immersionでは,一次運動野の興奮性に有意な変化は認められなかったが,whole-body water stimulationでは,皮質脊髄路興奮性の増加およびSICIの減少が認められた.これは,全身性の流水刺激が一次運動野の活動に影響を及ぼすことを示しており,水中でのリハビリテーションの一つとして,活用できる可能性があると考えられる.