6/2 勉強会

【研究報告】

担当:稲井

タイトル:数学シミュレーションによる足関節部の力ベクトルと膝関節角度を変数とした膝関節剪断力の推定

要旨

  • 目的:広筋群のトレーニングにおいて,膝関節前方剪断力が軽減された‘足関節部の力ベクトル発揮方向’と‘膝関節角度’を数学シミュレーションにて検討することである.
  • 方法:先行研究(Horsman et al., 2007)から筋骨格モデルを作成し,機能別実効筋およびHill modelを用いて,膝関節剪断力を算出した.力ベクトルの発揮方向は,膝関節から足関節へ向かう方向と股関節から膝関節へ向かう方向の範囲内で操作された.膝関節角度は,屈曲10°から90°の範囲内で操作された.
  • 結果:力ベクトルを膝関節から足関節の方向へ発揮させたとき,膝関節前方剪断力は低い値を示した.膝関節の屈曲角度の増加に伴い,膝関節の前方剪断力は減少した.
  • 考察:本研究の結果より,足関節部の力ベクトル発揮方向と膝関節角度を操作することにより,前方剪断力を変化させることができる可能性が示唆された.

 

【文献抄読】

担当:松本

タイトル:Primary motor cortex and ipsilateral control: A TMS study

要旨

  • 目的:手のラテラリティの違いが一側手指の随意収縮時における同側一次運動野(M1)の興奮性に及ぼす影響を検討すること.
  • 方法:対象は右利き健常成人9名,左利き健常成人9名とした.被験者は示指外転の等尺性収縮(25% MVCおよび50% MVC)を左右肢それぞれで行った.随意収縮時に経頭蓋磁気刺激を運動肢と同側M1に行い,安静肢から運動誘発電位(MEP),運動肢からipsilateral silent period(iSP)をそれぞれ記録した.
  • 結果:右利き者では,左示指の随意収縮時に対側安静肢のMEP振幅が上昇した.左利き者では,運動肢側に関わらず対側安静肢のMEP振幅が上昇した.右利き者において,左運動肢のiSP durationと右安静肢のMEP振幅に負の相関が認められた.
  • 結論:手のラテラリティの違いによって,一側手指の随意収縮時の同側M1の興奮性は異なることが示唆された.