5/19 日本理学療法学会予演会①

【日本理学療法学会予演会①】

担当:稲井

タイトル:2つの筋張力推定法を用いた平行棒使用方法の違いによる立ち上がり動作時の膝関節圧迫力の検討

要旨

  • 目的:平行棒の使用方法の違いによる立ち上がり動作時の膝関節圧迫力を検討すること.
  • 方法:課題動作は椅子からの立ち上がり動作とした.平行棒使用方法を3つ設定し,Free(平行棒を使用しない条件),Push(平行棒を下方へ押す条件),Pull(平行棒を引きながら立ち上がる条件)とした.筋張力推定法は機能別実効筋および筋疲労最小化の2つとし,3対6筋の大腿矢状面筋骨格モデルとした.
  • 結果:膝関節圧迫力に関して,両者の筋張力推定法ともにPushはFreeおよびPullと比較して有意に低値を示した.
  • 考察:Pullの平行棒使用方法では膝関節圧迫力に負担が軽減されないことが明らかになった.平行棒の使用方法を指導することで,荷重軽減の必要性がある立ち上がり練習に寄与できる可能性が示唆された.

 

担当:小丹

タイトル:末梢神経電気刺激による他動的疲労課題が皮質脊髄路の興奮性に及ぼす影響―MEP,M波,F波による検討―

要旨

  • 目的:本研究の目的は,随意運動疲労課題および末梢神経電気刺激による他動的疲労課題が皮質脊髄路の興奮性に及ぼす影響を検討することである.
  • 方法:対象は健常成人10名で,母指対立運動による筋疲労課題を遂行し,筋疲労5分後の運動誘発電位(Motor evoked potential:MEP)と,M波,F波の計測を行い,安静時と比較した.
  • 結果:随意運動課題後ではMEPおよびM波は減少し,F波振幅および出現頻度に有意な差は認められなかった.一方,電気刺激による他動疲労課題後においては,MEPは減少し,M波およびF波(振幅と出現頻度とも)に有意な差は認められなかった.
  • 結論:これらのことから,電気刺激により引き起こされた筋疲労によって,運動皮質の興奮性が低下することが明らかになった.

 

担当:高林

タイトル:筋骨格モデル解析を用いた前向き降段と後ろ向き降段における膝関節間力の算出

要旨

  • 諸言:変形性膝関節症にとって最も困難な日常生活動作は階段降段動作である.しかしながら,階段降段動作における関節負荷は明らかになっていない.
  • 目的:本研究は,近年注目を集めている後ろ向き降段動作と前向き降段動作において膝関節間力(関節負荷)を推定し,階段降段動作指導の一助とすることを目的とした.
  • 方法:被験者6名を対象とし,課題動作は前向きおよび後ろ向きの階段降段動作とした.算出された関節モーメントおよび筋電図情報を基に最適化手法にて筋張力を推定し,膝関節間力を推定した.
  • 結果:2つ降段方法において膝関節間力は同様であったが,後ろ向き降段動作は大腿四頭筋張力が有意に低値を示した(p < 0.05).
  • 結論:後ろ向き降段動作は,大腿四頭筋負荷を軽減できる動作戦略であることが明らかになった.

 

担当:高井

タイトル:筋収縮強度の違いが運動準備期の脳酸素動態に及ぼす影響

要旨

  • 目的:筋収縮強度の違いが運動準備期の脳酸素動態と循環応答に与える影響を明らかにする
  • 方法:右利き健常成人6名に対し,120秒間の安静の後に20秒間の右手静的掌握運動を行わせた際の脳酸素動態と循環応答を計測した.解析区間は運動直前の20秒間とした.
  • 結果:脳酸素動態については,対側運動関連領野全体で対照条件,10%MVC,50%MVCに比べ90%MVCが高値を示した.循環応答(平均血圧,心拍数)に関しては,各条件間に差は見られなかった.
  • 結論:運動準備期の脳酸素動態は中強度超の運動強度で有意に増加すること,運動準備期の脳酸素動態と循環応答は一致しないことが明らかとなった.