4/28 勉強会
【研究報告】
担当:江玉
タイトル:Achilles tendinopathyの発生要因の検討
要旨
- 目的:詳細なアキレス腱の構造の解明,②踵骨を前額面,矢状面,水平面上で動かした際のアキレス腱を構成する各線維束に加わるストレスを明らかにすること.
- 方法:①固定遺体60体110側(平均年齢:77.8歳±11.7歳,男性:76歳,女性:34側)の肉眼解剖学的構造を肉眼解剖学的に分析.②3DデジタイザMicroscribe 装置(G2X-SYS,Revware 社),3Dモデリングソフト(Rhinoceros4.0)を用いてアキレス腱の構造を三次元構築.そうして踵骨を動かした際のアキレス腱の各線維束に加わるストレスを解析ソフト(SCILAB-5.4.1)を用いて計測.
- 結果・今後の予定:①ねじれの程度によりタイプⅠ(54側,49%),タイプⅡ(48側,44%),タイプⅢ(8側,7%)に分類できた.②現在タイプⅡのアキレス腱の構造が3次元構築できた.今後はタイプ毎に三次元構築し,踵骨を動かした際のストレスを計測,解析していく予定である.
【論文抄読】
担当:高橋
タイトル:The influence of long-term treadmill exercise on bone mass and articular cartilage in ovariectomized rats
要旨
- 背景:閉経後に骨粗鬆症により,骨量・骨密度・骨強度などの低下が惹起される.短期間での運動の効果は多く実証されているが,36週間の長期間という長期間の運動が骨にどのような影響を及ぼすかは明らかでない.また,軟骨も同時に変性していくことが知られているが,これに関しても長期間の運動により,どのような影響を及ぼすかについては明らかにされていない.
- 目的:卵巣摘出モデルラットを用いて,骨粗鬆症を惹起させた場合,長期間のトレッドミル走行が骨および軟骨に及ぼす影響を明らかにすることである.
- 方法:対象はSparague-Dawleyラット,雌性,8週齢(n=60)を4週間予備飼育した後に,CON群,RUN群,OVX群,OVX-RUN群の4群に無作為に振り分ける.OVXおよびOVX-RUN群は卵巣摘出し,トレッドミル走行は28週齢~64週齢までの36週間とした.トレッドミル走行は12m/min,60min/day, 5times/wkとした.計測対象および解析方法として,BMD(骨密度)はL3,L4,L5を対象とし,骨量(%BV=BV/TV)はTRAP染色を施した脛骨を対象とした.また,軟骨の評価にはModified Mankin Scoreを用いた.
- 結果:BMDおよび骨量ではOVXを実施した群で有意な低値を示したが,トレッドミル走行による有意差は認められなかった.また,軟骨変性については,OVX群に比べCON群,RUN群,OVX-RUN群において有意な低値を示した.
- 考察:閉経モデルラットにおいて,長期間のトレッドミル運動をおこなうことで,軟骨変性を予防する効果が示唆された.一方,他の液性因子やメカニカルストレスの方向などの影響から脛骨骨量や腰椎骨密度を十分に改善するには至らなかったと考えられる.