4/14 勉強会

【研究報告】

担当:菅原

タイトル:異なる運動範囲の他動運動が脳磁界反応に及ぼす影響

要旨

  • 目的:示指の他動運動時には運動開始後約40 ms(PM1), 80 ms(PM2), 130 ms(PM3)にピークを示す体性感覚誘発磁界(SEF)が観察されることが多いが,PM3は不明瞭であることが多く,その発生要因については未だ明らかになっていない.そこで,本実験では他動運動時の関節運動範囲がPM3に及ぼす影響を調査することを目的とした.
  • 方法:対象は健常成人14名とし,306チャネル全頭型MEG装置を利用して他動運動刺激によるSEFを計測した.他動運動には運動範囲および運動速度が設定可能な制御機能付き示指他動運動装置を用い,運動速度を300mm/secに設定して,運動範囲が50mmであるNormal range条件(NR)と,25 mmであるSmall range条件(SR)を設定した.解析対象は得られた波形の各成分のピーク潜時と振幅値とした.
  • 結果:PM1,PM2の振幅値は両条件間で有意な差は認められなかったものの,PM3の振幅値はSR条件がNR条件に比べ有意に増大した.
  • 考察:SR条件ではNR条件に比較し拮抗筋の伸張度合いが少ないため,筋紡錘からの求心性入力が減少し,一次体性感覚野などの活動が反映されやすくなり,PM3の振幅値が増大した可能性が考えられる.

【論文抄読】

担当:山代

タイトル:Conflict caused by visual feedback modulates activation in somatosensory areas during movement execution

要旨

  • 背景:運動制御における感覚情報の役割は良く研究されている.しかし、運動実行に対する視覚と体性感覚情報のcross-modalな関係性に基づく皮質過程については議論がある.
  • 目的:本研究は,矛盾を引き起こす視覚フィードバックが運動中に体性感覚情報処理にどのような影響を及ぼすかについて検討することを目的としている.
  • 方法:被験者は自己ペースでの左手の親指の運動を通常視覚条件とミラー条件のもと行った.刺激は左手の正中神経刺激とした.ミラー条件では予期しない視覚フィードバックが与えられた.
  • 結果:運動中にSIの活動は抑制され,SIIの活動は増大した.SIIとPCの神経活動は予期しない視覚フィードバックにより強く影響を受けた.これらの結果は,視覚情報が運動中の体性感覚領域の活動に重要な役割を果たすことを示した.