要旨:
ケガなどで動けなくなると筋肉や骨が萎縮します。この研究では神経損傷で不動となった筋肉(前脛骨筋)に電気刺激を与えて筋張力を発生させ、その筋力による刺激で骨の萎縮をどの程度軽減できるかを調べました。電気刺激の強さは3種類でいずれも比較的おだやかな刺激強度の範囲で、最大筋力の約10%(弱)、20%(中)、30%(強)程度が発揮される刺激条件を設定しました。骨の量や構造はµCTで、骨の形成に関する項目は顕微鏡を観察して分析しました。
神経損傷から1週目、3週目と経過するのに伴い脛骨の骨量(BV/TV)は著しく低下しました。そこに電気刺激を毎日30分間処方すると、不動3週目ではいずれの強度でも電気刺激効果はありませんでしたが、不動1週目では電気刺激(強)において、骨量低下が軽減されました。このことから、30%張力発揮程度の電気刺激なら、元のレベルを維持することはできませんが、不動による初期の急激な骨量低下を遅らせる効果が示唆されました。