3/3 勉強会(ICCN予演会)

【ICCN予演会】

担当:佐藤

タイトル:Water flow stimulation increases excitability of primary motor cortex at rest and during movement—A transcranial magnetic stimulation and EEG study—

要旨

  • 目的:手部浸水および手部への流水刺激が安静時の一次運動野の興奮性および随意運動遂行に伴う脳活動への影響を検討した.
  • 方法:成人男女10名を対象に,3条件の介入(浸水条件,流水条件,非浸水条件)を15分間実施し,各条件前後の一次運動野の興奮性を評価した.一次運動野の興奮性は,rMT,aMT,I-O curve(実験1),短間隔皮質内抑制(SICI)および皮質内促通(ICF)(実験2)によって評価した.随意運動遂行時の一次運動野の興奮性については,Movement-related cortical potentials (MRCPs)にて評価した.浸水方法は,右前腕部のみを浸水し,流水条件では40Hzの流水刺激を手掌に呈示した.
  • 結果:流水条件において,Recruitment curveの増大,SICIの減少,ICFの増大が認められた.また,MRCPにおいて,NS’およびMPの振幅増大が認められた.
  • 考察:流水刺激による筋紡錘からの求心性入力が安静時の一次運動野の興奮性を高め,そのことが随意運動遂行時の一次運動野の興奮性を高めたと考えられる.

担当:松本

タイトル:Effects of goal-directed finger movement on intracortical inhibition circuits in the ipsilateral primary motor cortex

要旨

  • 目的:手指運動課題の課題指向性が動作肢と同側一次運動野の皮質内抑制機構(SICI,LICI)に及ぼす影響について検討した.
  • 方法:10名の右利き健常被験者が右示指で机上でのタッピング,机上に投影されたレーザーキーボードへの実単語の入力,文字入力課題で用いた単語を再配置した疑似単語の入力を行った.安静時,各課題遂行時に同側一次運動野(M1)への単発および二連発経頭蓋磁気刺激(TMS)を行い,左第一背側骨間筋より運動誘発電位を記録した.二連発TMSの刺激間隔は3 ms, 100 msに設定し,SICI,LICIをそれぞれ評価した.
  • 結果:安静時,疑似単語入力課題と比較し,実単語入力課題ではLICIが有意に減弱した.単発MEPおよびSICIには課題間の変化が認められなかった.
  • 考察:本結果は,実単語入力課題遂行時に同側M1内のLICIが減弱,すなわち脱抑制によって同側M1の興奮性が増大したことを意味すると考えられる.課題指向性の高い運動遂行時には,動作肢と対側のみならず同側M1の興奮性も増大することが示唆された.

担当:山代

タイトル:Effect of changes in stimulation sites on activation of posterior parietal cortex

要旨

  • 目的:刺激部位の認知は感覚情報処理において重要な役割を担っている.しかしながら,刺激部位認知を反映する脳活動については明らかになっていない.本研究では,オドボール課題を用いて体性感覚誘発脳磁場を記録し,刺激部位認知を反映する脳活動について検討した.
  • 方法:被験者は8名.刺激にはリング電極を用い2Hzで刺激を行った.標準刺激と逸脱刺激を8対2の割合で呈示した.逸脱刺激は常に示指に呈示した.条件1は親指と示指(逸脱小),条件2は小指と示指(逸脱中),条件3は足指と示指(逸脱大)とした.それぞれの示指刺激によって記録される波形を比較した.
  • 結果:刺激から約80ms後にSI/PPC付近で記録されるM80が,逸脱小<逸脱中<逸脱大の順に大きくなった.さらに,M80成分について重畳する活動を分離するため,多信号源解析(BESA)を行った結果,3b野とarea1の活動は条件間で有意な差が認められなかったが,PPC活動のみ逸脱が大きくなるにつれて活動も大きくなった.
  • 考察:本実験では刺激部位の逸脱が大きくなるほどPPCのM80活動が大きくなることが示された.このことからPPCが刺激部位認知に関わることが示唆された.

担当:菅原

タイトル:Influence of times of interfering stimulation on the somatosensory evoked magnetic fields

要旨

  • 目的本研究の目的は,正中神経刺激による体性感覚誘発磁界(SEFs)が,刺激直前の連続刺激の刺激回数および刺激強度に影響を受けるのかを明らかにすることである.
  • 方法:健常成人14名を対象とし,306チャネル全頭型脳磁界計測装置を用いて右正中神経刺激時のSEFを計測した.試験刺激(100%MT)に先行する条件刺激(70%MT)の刺激回数を1回および3回に設定し,試験刺激のみの条件を含めて3条件をランダムに提示し,それぞれ加算平均した.ISIはいずれも500msとした.
  • 結果:試験刺激のみの条件と比較し,先行刺激が設定された条件ではP35mおよびP60mの振幅値が減弱し,また先行刺激の回数が1回の条件と比較し3回の条件で顕著に減弱した.
  • 結論:SEF波形のP35mおよびP60mは試験刺激に先行する刺激の回数や強度に依存して変化することが明らかになった.