4/22 勉強会

文献抄読

担当:宮口

論文:W. P. TEO et al. Changes in corticomotor excitability and inhibition after exercise are influenced by hand dominance and motor demand. Neuroscience 210 (2012) 110–117

要旨

  • 目的:利き手,非利き手における最大頻度および最大下頻度の手指運動課題が,運動後の皮質の興奮性に与える影響を明らかにすること
  • 方法:利き手(DOM),非利き手(NDOM)をもちいて,最大頻度(MVR)および最大下頻度(SR)による示指屈曲伸展運動を10秒間施行した際の皮質脊髄路の興奮性を経頭蓋磁気刺激(TMS)により評価した.運動条件は4条件(DOM/SR,NDOM/SR,DOM/MVR,NDOM/MVR)とした.
  • 結果: 4条件ともに運動課題後にMEP振幅の減少およびSICIの増大が認められた.DOM/SR条件において,MEP振幅およびSICIの変化が最も大きかった.一方,NDOM/MVR条件においてMEP振幅およびSICIの変化が最も小さかった.
  • 考察: 運動手の違いによりMEP振幅およびSICIが変化したことから,本研究結果は大脳半球における側性の影響を反映している可能性が考えられる.また運動頻度の違いによってもMEP振幅およびSICIが変化したことに関しては,最大頻度および最大下頻度での運動においてモーターコントロールの違いが関与したことが考えられる.

研究報告

担当:豊栄

研究テーマ:上腕筋の機能特性の解明

  • 背景:上腕筋(brachialis:BA)の主機能は肘関節屈曲運動とされている.一方で,BAは解剖学的に浅頭と深頭で構成された二層構造をなすことが明らかになり,それぞれ異なる機能を持つことが報告されている.これらの報告では,解剖学的な特徴から浅頭はすべての肘関節角度で働き,深頭は肘関節完全伸展位からの屈曲に関与する可能性があるとしている.また超音波研究によってBAの羽状角や組織の弾性を評価している研究では低い収縮力発揮時に筋活動が上昇することを報告している.しかし,これらの研究では肘関節・前腕肢位の影響,また浅頭,深頭それぞれの筋活動特性は明らかにされていない.またBAは解剖学的特徴から,骨・関節構造,関節包,靭帯とならび肘関節伸展制動機構としての役割が推測されるが臨床研究,基礎研究共にBAの活動に着目した報告はない.
  • 目的:BAの筋活動特性と肘関節伸展制動時の活動を解明することを目的とし,今後実験を進めていく予定である.