2/18 勉強会

研究報告

担当;小島

研究テーマ;電気刺激および磁気刺激のペア刺激によるMEPの変動と体性感覚誘発磁界の関連

要旨

  • 目的;電気刺激などの体性感覚入力は,大脳皮質の興奮性に影響を与えることが報告されている.本研究の目的は,示指電気刺激時に誘発される体性感覚誘発磁界のpeak潜時と電気刺激および磁気刺激によるペア刺激時に誘発されるMEP振幅の変動との関連を明らかにすることとした.
  • 方法;対象は健常成人10名であった.MEP計測は,磁気刺激装置magstim200(8の字コイル)を用い右第一背側骨間筋より導出した.電気刺激部位は右示指とし,刺激強度は感覚閾値の3倍とした.電気刺激とTMSの刺激間隔は20,30,40,50,60,70,80,100,140,180,200,220msの12条件とし,単発刺激を含めた13条件によりMEPを計測した.SEFの計測には,Neuromag社製306チャネル全頭型脳磁界計測装置を使用し,ring電極を用いた右示指電気刺激時の体性感覚誘発磁界を計測した.また,各被験者のN20m,P30m,P60mおよびN110mのセンサーレベルからpeak潜時を算出した.
  • 結果;各ISIで得られたMEP振幅値は,単発刺激時に比べ,ISI30,40,50,100,140,180,200,220ms時において有意に小さな値となった(20,30,200,220 ms: p<0.05)(40,50,100,140,180 ms: p<0.01).一方,ISI60,70,80ms時では,単発刺激時と比較して有意な差は認められなかった.各SEF成分の潜時と同等の刺激間隔で記録されたMEP ratioは,単発刺激時に比べN20m,P30mおよびN110mで有意に小さな値を示し(N20m,P30m: p<0.01)(N110m: P<0.05),P60mでは有意に大きな値を示した(P<0.05).
  • 結論;ペア刺激によりMEP振幅が増大する現象は,求心性促通といわれている.本研究により,求心性促通は,SEF波形のP60m成分と関連があることが示唆された.