2/4 勉強会

研究報告

担当:宮口

研究テーマ:手指運動課題動作の違いが皮質脊髄路興奮性に与える影響

  • 目的:手指運動課題動作の違いが皮質脊髄路興奮性に与える影響を明らかにすること
  • 方法:対象は健常成人9名であった.運動課題は,右示指の屈曲伸展運動,右示指の内外転運動,右母指の対立運動の3条件とした.運動頻度は2Hz,運動時間は2分間とした.皮質脊髄路の興奮性の評価には経頭蓋磁気刺激を使用し,左一次運動野手指領域を刺激し,右第一背側骨間筋(FDI)より運動誘発電位(MEP)を導出した.
  • 結果:右示指の内外転運動条件において,運動前に比べ運動直後のMEP振幅が有意に低下した(p<0.05).その他の条件ではMEP振幅に有意な変化は認められなかった.また右示指の内外転運動条件は,右示指の屈曲伸展運動条件,右母指の対立運動条件に比べ,課題中のFDIの筋活動が有意に高い値となった(p<0.05).

    文献抄読

    担当:高橋

    論文:Curzi et al. How physical exercise changes rat myotendinous junctions: an ultrastructural study European Journal of Histochemistry 2012; 56:e19. doi:  10.4081/ejh.2012.e19

    要旨

    • 背景:筋腱移行部は過負荷や外傷などにより,怪我の後発部位である.その一方で,適切なトレーニングをすることで怪我の発症リスクを抑えることができる.また,筋腱移行部は構造的にもinterdigitatio様の複雑な構造を呈している.これらが運動負荷によりどのような構造的変化をもたらすのかを電子顕微鏡レベルで検討した.
    • 方法:ラット(♂:8w齢)に対し,6匹はコントロール群とし6匹はトレーニング群とした.トレーニング群は,10%の傾斜角度でトレッドミル走行を週に3回,合計5週間トレーニングをおこなった.運動時間とスピードは徐々に増減させ,最終的には25m/minの速さで1時間走行させた.
    • 結果:長趾伸筋と腓腹筋を比較した結果,トレーニング群ではコントロール群に対し,腱が枝分かれして筋に入り込む割合が有意に増加し,トレーニング群の筋腱移行部における腱の分岐部の数では,腓腹筋においてのみ有意に増加が認められた.また,トレーニング群における骨格筋の基底膜が厚くなっていることが観察された.
    • 考察:運動により筋腱移行部はよりmesh-work様のより複雑な構造をなしたことで,接触面積が広くなり,構造的にも量的にも強固になり,腱収縮のエネルギーをより効率よく腱へ伝えることができることも示唆された.また,基底膜の増大も筋腱移行部に加わる煎断力増大に適応するためと考えられる.