研究報告
担当:桐本
研究テーマ:補足運動野に対する経頭蓋直流電流陰極刺激が先行随伴性姿勢調節に及ぼす影響
要旨
主動作筋の活動に先行して姿勢調節筋群が放電開始する現象は,先行随伴性姿勢調節(APAs)とよばれ,補足運動野(SMA)がその生成に関与すると考えられている。本研究では,SMAに対する経頭蓋直流電流陰極刺激(陰極tDCS)が,APAsの機能に影響を及ぼすか否かを検討した。健常被験者11名が,自己ペースで右上肢を急速拳上する課題を重心動揺計上で行い,この時の右三角筋と右大腿二頭筋の活動を表面筋電図で記録した。左側M1(Cz上)とSMAに陰極tDCS(2 mAで15分間)及び疑似刺激を行い,刺激前後における両筋の放電開始時間差(⊿EMG onset)の変化を比較した。陰極tDCS後における⊿EMG onsetの有意な短縮はSMA刺激時にのみ認められた。APAsの生成にはSMAが重要な役割を果たし,また陰極tDCSはSMAの予測的姿勢調節機能を抑制し得ることが示唆された。