12/3 勉強会

文献抄読

担当:小島

論文

C.S. Mang et al, Loss of short-latency afferent inhibition and emergence of afferent facilitation following neuromuscular electrical stimulation. Neuroscience Letters (2012)529, 80– 85

  • 目的:神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation: NMES)は皮質脊髄路の興奮性を増加させることが可能である.しかし,NMESが求心性入力および皮質脊髄路間の興奮性変化に及ぼす影響については不明である.そこで本研究は,NMESによる短潜時求心性抑制(short-latency afferent inhibition: SAI)および求心性促通(afferent facilitation: AF)の変化について検討した.
  • 方法:対象は,健常成人9名とした.NMESは尺骨神経を刺激部位とし40分間行った.皮質脊髄路の評価として,120%RMTの強度で経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation: TMS)を行い,第一背側骨間筋より運動誘発電位(motor evoked potential: MEP)を導出した.SAIおよびAFの測定は,尺骨神経刺激(条件刺激)後18-25ms(SAI)または28-35ms(AF)にTMSを行った.MEPは,NMES介入前および介入後に各条件(単発刺激のみ,SAI,AF)20回測定した.
  • 結果:120%RMTにより得られたMEP振幅は,NMES前に比べNMES後において,有意な増加が認められた.また,SAI条件において,NMES前は,単発刺激条件に比べSAI条件では有意に減少したものの,NMES後では,単発条件とSAI条件で有意な差は認められなかった.一方,AF条件において,NMES前は,単発刺激とAF条件では有意な差は認められなったものの,NMES後では,単発刺激に比べAF条件でMEPの有意な増加が認められた.
  • 結論:皮質脊髄路において求心性入力による促通効果が増加したことから,NMESによる効果は,皮質脊髄路興奮性の増加とともに求心性入力によるM1興奮性変化を引き起こすことが明らかとなった.