11/26 勉強会

文献抄読

担当:宮口

論文

Siobhan M et alInteraction between simultaneously applied neuromodulatory interventions in humansBrain Stimulation, 2012 (in printing)

要旨

  • 目的:経頭蓋直流電流刺激(tDCS)と神経筋電気刺激(NMES)の同時適応が皮質運動野興奮性に与える影響を明らかにすること.
  • 方法:健常成人21名を対象に,tDCSおよびNMESを20分間施行し,介入前後における運動誘発電位(MEP)を比較した.
  • 結果:Anodal tDCS+NMES条件では,MEP振幅の有意な変化は認められなかった.Cathodal tDCS+NMES条件では,介入前に比べ介入後にMEP振幅の有意な低下が認められた.
  • 考察:Anodal tDCS+NMES条件では,皮質でのホメオスタシス機構やBCMtheory,Gating作用により神経可塑性応答(LTP/LTD)が調節された可能性が考えられる.またCathodal tDCS+NMES条件では,Anti-gating作用により可塑性変化が妨害されたことが考えられる.

担当:北澤

論文

Kreg G.Gruben , WendyL.Boehm  Mechanical interaction of center of pressure and force direction in the upright human.Journal of Biomechanics 45 (2012) 1661–1665

直立位における圧中心と力の方向の力学的な相互作用

要旨

  • 背景:人は両足での直立姿勢を骨格的なメカニクスと神経的にコントロールされた筋の出力によって維持している.神経学的,力学的な相互作用は,これまで広範囲な研究がされているにも関わらず完全に理解はされていない.
  • 目的:4つのセグメントで構成された立位のコンピュータモデルを用い,6つの姿勢条件下で床反力作用線が通る定点の位置の変化を調べる.
  • 方法:床反力作用線が通る定点(Π)を計算により算出.身体パラメータの異なる4つのコンピュータモデルを,①足部より上のセグメントが同じ各加速度,②それぞれのセグメントが異なる各加速度,③膝関節トルクが指定の姿勢でスタティックを保てるような値に設定した条件に分け,股・膝・足関節の角度を変えた6つの姿勢でΠの位置の変化を調べた.
  • 結果:①はПがすべてのタスクにおいて質量中心より上方に位置し,②,③ではПはすべてのタスクにおいて膝関節の近くに位置した.膝のトルクはПの位置に大きく影響し,膝屈曲で大腿にシフトした.
  • 結論:Πを定めることは直立姿勢を維持するための力学的システムを理解することに役立つ.さらに,人が直立位を維持するメカニズムにおいて,純粋な力学的システムの影響を排除することは,神経的システムが姿勢を維持するための戦略の理解に役立つと考えられる.

研究報告

担当:江玉

研究テーマ

腓腹筋内側頭の効果的・選択的ストレッチング方法の考案

要旨

  • 目的:(1)下腿三頭筋を肉眼解剖学的に詳細に分析し,内側頭の効果的・選択的ストレッチング方法を考案すること,(2)健常成人を対象に,考案した方法を超音波装置を用いて定量的に検証すること .
  • 方法:<実験1>肉眼解剖学的手法を用いて下腿三頭筋の構造を詳細に分析した.得られた解剖学的所見から,内側頭の効果的・選択的ストレッチング方法を考案した.<実験2>ストレッチング肢位1:膝関節伸展0°・足関節背屈10°,肢位2:股関節内旋15°・膝関節伸展0°・足関節背屈10°・外反10°,肢位3(考案肢位):股関節内旋15°・膝関節伸展0°・足関節背屈10°・内反10°の3肢位で超音波装置を用いて内側頭の羽状角,筋厚,筋線維長を計測した.
  • 結果:考案した肢位3は,他の肢位に比べて有意に羽状角は減少し,筋線維長は増加した.
  • 考察:膝関節伸展・足関節背屈に股関節内旋(下腿内旋)・足関節内反を加えることで腓腹筋内側頭を効果的・選択的にストレッチングできると考える.