医療機器のプロとして一人ひとりに接する
臨床技術学科
涌井 奈央
卒業年 |
:2021年3月卒業 |
出身高校 |
:長野県・須坂高校 |
勤務先 |
:長野医療生活協同組合 長野中央病院 |
職種・職位・資格 |
:臨床工学技士・臨床検査技師 |
私は現在、臨床工学技士として、主に医療機器全般のメンテナンスや造影検査、PTA(風船付きカテーテルを用いて血管のつまりを治す治療)などで医師の補助を行っています。臨床工学技士は、オペ室、透析室、内視鏡室など、分野により業務内容が異なっており、私は腎機能が低下した患者さんに対して「透析治療」を行っています。「透析治療」は患者様の血液を一度体外に取り出し、人工腎臓のフィルターを介して老廃物や余分な水分を取りのぞくため、患者様への針刺しや、機械の操作が主な業務となります。加えて、血液検査の結果報告や食事について話をする機会が多いのも、この仕事の特徴です。患者様の不安を少しでも取りのぞけるように、一人ひとりに合わせた接し方を心がけています。
- 現在の職種・業種を志したきっかけや理由について教えてください。
- 臨床工学技士になろうと決めたきっかけは、病院実習でした。実習期間中は、臨床工学技士が活躍する様々な現場を見させていただきました。実習前までは、臨床工学技士は裏方の仕事というイメージが強かったのですが、実際は他のスタッフからも頼りにされている「縁の下の力持ち」というように感じ、それがとても魅力的だったため臨床工学技士を目指そうと思いました。臨床工学技士を目指せる大学がたくさんある中、新潟医療福祉大学で学ぼうと思った理由は、ダブルライセンスを取得できれば知識も広がりより多くの選択肢を得ることができると思ったからです。
- 仕事で大切にしていることは何ですか?
- 現場で仕事をしていると、様々な患者さんに接する機会があります。私は、できる限りそれぞれの患者さんに合わせた接し方を心がけていて、どんなに忙しくても患者さんと接する時だけはその人と1対1で向き合うようにしています。ある時、穿刺が苦手な患者さんがいました。時間帯的にとても忙しくやることはたくさんありましたが、私は手を握ってずっとゆっくりと声をかけ続けました。無事に穿刺が終わり、患者さんも落ち着き透析が始まるとその患者さんに呼ばれました。そしてその患者さんから、あなたがいてくれてよかったわ、と言っていただきました。本当に些細な出来事ですが、私はそれを聞いて患者さんとしっかり向き合ってきてよかったなと感じました。
- 本学での学びで活かされていることは何ですか?
- 私は、「臨床工学技士」と「臨床検査技師」の二つの国家資格が取得できることに魅力を感じ、本学への入学を決めました。実際に臨床工学技士として働いていても、ダブルライセンスとして取得した臨床検査技師の知識は多くの場面で役立っています。患者様の治療条件や状況に応じた操作をするためには、検査データを理解することが重要となるので、大学で学んだ知識を思い出さない日はありません。また、学内実習では多くの医療機器に触れていたので、現場での機械の使用方法や構造などについて理解を得やすくなっていると実感しています。これからも経験を積み、頼りにされる臨床工学技士として業務に励みたいです。
- 高校生へ一言お願いします。
- 本学には「ダブルライセンス」という他にはない強みがあります。取得する過程は簡単ではありませんが、実際に病院で働いてみると心からダブルライセンスを取得してよかったと思います。それぞれの資格を持ち、実際に病院で働いた経験のある素晴らしい先生方が多く揃った学校なので、経験を踏まえた実践寄りの知識を学べると思います。たくさんの選択肢がある中で悩むことも多いと思いますが、多くの情報を得ることでその先の道を見定めて自らが決めた道に進めるよう頑張ってください。