「できる・できた」 経験を共有する
作業療法学科
渡邉 貴博
卒業年 |
:2010年3月 |
出身高校 |
:新潟県・高田北城高校 |
勤務先 |
:新潟大学医歯学総合病院 |
職種・職位・資格 |
:作業療法士 |
私は現在、新潟大学医歯学総合病院に勤務しています。大学病院ということもあり、作業療法の対象となる疾患は多岐に渡ります。その中で、私は主に「急性期」と呼ばれる救急車やドクターヘリで搬送された直後の患者様に対して作業療法を行っています。入院直後は、身体・精神的に混乱されている患者様が多く、寄り添い、体を起こすことなどから始めていきます。その後、身体・精神の回復に合わせ、ご飯を食べる・顔を洗う・トイレで排泄をするなど、ふだん何気なく行っている、身の回りのことができるよう支援していきます。身の回りのことが「できる・できた」という経験は、病気・ケガに向き合う「力」になります。そのような経験を患者様と共有しながらリハビリを行っています。
- 現在の職種・業種を志したきっかけや理由を教えてください。
- 高校3年生の夏、「誰かの役に立つ仕事をしたい」という漠然とした思いがある中で、たまたま図書館で見つけた「作業療法士になるには」という本を読んだことがきっかけです。また、本学の講義や実習を通して作業療法の魅力を実感することができました。私がそうであったように、全員が入学前から明確な目標を持ってスタートを切るわけでわないと思います。本学には、入学後に作業療法の魅力を教えてくださる素敵な先生方がたくさんいると感じています。
- 仕事のやりがいや魅力を教えてください。
- 作業療法士は「人を診る職種」のため、支援方法や関わり方に正解はなく、悩み・勉強する日々で大変なこともあります。その反面、患者様との目標を一緒に達成できた時、患者様が笑顔で退院された時は、喜びと作業療法の魅力を感じることができます。また、作業療法の分野は比較的若い世代が多く、同じ志を持った仲間と切磋琢磨し、自分自身の成長も感じられる魅力的な仕事だと感じています。
- 本学で学んだこと、身につけたことは、現在の仕事にどのように活かされていますか?
- 卒業研究では、研究法や医療者としての考え方はもちろんのこと、社会人としての作法を教えていただいたことが、就職後に大いに役に立っています。また、卒業研究を通して、物事に疑問を持ち、客観的に見つめ、自分自身で仮説を立て、検証していく思考が身についたことは、日々の診療場面で活かされています。学生生活では、同学年の繋がりだけでなく先輩・後輩、他学科との繋がりが強いことが本学の特徴だと思います。チーム医療が重視される今、大学時代に経験した他学科の学生との関わりが日々の仕事に多く活かされていると感じます。
- 今後の目標や夢、現在の仕事を通して実現したいことなどについて教えてください。
- 作業療法はまだまだ発展途上の分野です。日々の臨床から得た疑問を大切にしながら、自分自身の行っている「作業療法」を見つめ直し、患者様に対してはもちろん、社会に貢献できる人材になりたいと思っています。そのために、担当させていただいた患者様からの学びや経験を学会発表や研究活動を通して発信していきたいと思っています。 また、生活動作や身体機能の改善だけでなく、目には見えにくい「生活の質」の向上を支援できる作業療法士を目指していきたいと思っています。
- 高校生へ一言お願いします。
- 世の中に「誰かの役に立つ仕事」はたくさんありますが、超高齢社会である日本にとって、人々の“生活の支援”を専門とする作業療法士へのニーズは、今後ますます増えていくと思います。人の人生に密接に関わる責任の大きな仕事のため、「誰かの役に立ちたい」「やりがいのある仕事をしたい」という気持ちが大切です。そんな気持ちがある方は、本学のオープンキャンパスに参加してみることや実際に作業療法士が働いている病院を見学するなど、作業療法士に興味を持つことから始めてみてください。私がそうであったように、高校3年生から作業療法士を目指しても遅くはないですよ!