11月2週目から佐熊裕和教授(健康スポーツ学科,男子サッカー部監督)のご協力のもと,森山さん(理学療法学科3年,スポーツ医科学Lab,男子サッカー部学生トレーナー)と吉川さん(理学療法学科3年,スポーツ医科学Lab)を中心に平林怜講師(理学療法学科,スポーツ医科学Lab,アスリートサポート研究センター)との研究で,男子サッカー部のトップチームの選手を対象に,咬合機能が運動パフォーマンス(シュート,ヘディング)に及ぼす影響について研究しています!
写真① 左:森山さん,右:長谷川夢作選手(ジュビロ磐田U-18出身),写真② 右:田中翔太選手(青森山田高校出身)
咬合機能(歯列の評価,噛み合わせ,咬合力,左右の咬合バランス機能)を評価しています.
咀嚼筋,頚部,下肢にワイヤレス筋電を貼付して,咬合強度に伴った各筋肉の筋活動を解析することで,咬合が及ぼす遠隔促通効果(噛みしめることで他の筋肉が活性される効果)が分かり,咬合によるシュートやヘディングのパフォーマンスの影響について選手にフィードバックし,今後の運動パフォーマンス向上に役立てます.また,頭部に加速度センサーを装着して咬合によるヘディング時の頚部の固定性や頭部への衝撃を解析し,ヘディングパフォーマンスと脳振盪のリスクについて検討できます.
シューズに装着できるストラップ型の機器を用いて,かなりハイテクでキックスピードの他,走行距離・走行スピード・左右のボールタッチ数など計測でき,咬合機能と筋活動の影響がキックスピードやスピードガンによるボールスピードを計測して,身体機能の向上が運動パフォーマンスに反映するか検討できます.
〔研究者(森山さん)からのコメント〕
男子サッカー部の学生トレーナーとして,平林先生や佐熊監督のご指導のもと,スポーツ現場におけるトレーナーの知識やスポーツ理学療法を学びつつ,このような貴重な研究をさせていただいています.この研究は,サッカー部のトップチームの選手やスタッフの方々にも協力していただいており,このような環境にも感謝しながら行っています.
咬合が運動パフォーマンスがどのように影響しているのかを研究したうえで,この知見が今後,選手だけでなくスポーツ現場に浸透し,より良いパフォーマンスに繋げられるようにしたいです.
〔研究者(平林講師)からのコメント〕
多くのスポーツ競技,スポーツ現場で,咬合の指導はほとんど行われいないのが現状です.それは咬合機能が及ぼす影響について,各スポーツ競技に落とし込んだ知見が少ないからだと考えます.咬合は即時的に筋力を向上する効果があり,選手のパフォーマンスを一時的に現状の能力以上の効果を発揮する可能性が秘めています.一方で,咬合不全(歯並びが悪い,噛み合わせが悪い,左右の咬合バランスが悪い)により運動パフォーマンスを低下させることが分かっています.また,脳機能にも悪影響を及ぼし,認知遂行機能が低下することや,ついには認知機能が低下し認知症との関係も多くの研究で分かっています.
現在,広島大学の歯科医と共同研究を進めており,咬合と神経機能の研究を進めています.その基礎的知見から本実験のようにトップアスリートを対象とした運動パフォーマンス向上や傷害予防を含む研究を行っていき,咬合の重要さがスポーツ現場に浸透することを目標に今後も多くの知見を発信していきたいです.
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