大西秀明教授(理学療法学科,神経生理Lab,運動機能医科学研究所)らの研究が「Cerebral Cortex」に採択されました!
〔研究の概要〕
体性感覚機能を評価するための「二点識別覚検査」は臨床場面でしばしば用いられます。この二点識別覚は体性感覚の空間識別能力を反映しており、大脳皮質の多くの領域が関与していることがわかっていますが、それぞれの領域がどのような役割を担っているのか、まだまだ不明な点が多いのが現状です。そこで、本研究では、若年健常者における皮質灰白質(GM)容積と二点識別覚閾値との関係を詳細に解析し、体性感覚機能の個人差を反映する脳構造の特徴を調べました。
まず、健康な若年成人を対象にして、パーソナルコンピュータで制御可能な特殊な検査装置を用いて二点識別覚閾値を測定しました。その後、3T-MRIスキャナーを用いて取得したT1強調MRI構造画像を対象にしてvoxel-based morphometry法(VBM法)を用いてGM容積を算出しました。二点識別覚閾値とGM容積の関係を重回帰分析した結果、二点識別覚閾値が低いほど(体性感覚機能が優れているほど)、対側半球の中側頭回から下頭頂小葉までのGM容積が少ないことが判明しました。この結果は、皮質GM体積は体性感覚機能のバイオマーカーとなり得る可能性があることを示唆しています。
>>詳しい研究内容はこちら
https://www.nuhw-pt.jp/2022/05/-cerebral-cortex20220526.html
〔研究者からのコメント〕
一般的にパフォーマンスが良いと、それの関連する特定の皮質領域の容積が大きいと考えられがちですが、今回の研究ではパフォーマンスが良いほど皮質の特定領域の容積が少ないことを示しました。このような関係性(機能が良いほど特定の皮質領域が小さい)は、注意機能や認知機能などでも報告されていますが、体性感覚機能に関連してこのような関係性を明らかにしたのは世界初であり、体性感覚情報処理に関する理解を深めるものだと考えています。
〔原著論文情報〕
Onishi H, Nagasaka K, Yokota H, Kojima S, Ohno K, Sakurai N, Kodama N, Sato D, Otsuru N. Association between somatosensory sensitivity and regional gray matter volume in healthy young volunteers: a voxel-based morphometry study. Cerebral Cortex. 2022 (in press) DOI: 10.1093/cercor/bhac188
>>理学療法学科の詳細はこちら
http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/pt/
>>理学療法学科オリジナルサイトはこちら
http://www.nuhw-pt.jp/