視機能科学科の岸哲志講師らの研究グループは、コロナ禍における視覚障害者の同行援護サービスに関する実態調査を行い、コロナ禍前年との比較から同行援護サービスの利用者数は大幅に減少していないことを示しました。コロナ禍において同行援護サービスは主に基本的な生活を維持するために利用されていたことを今回の調査結果として報告しています。
本調査結果は、「眼科臨床紀要」に掲載予定です。
【研究概要】
本調査は、コロナ禍に直面している視覚障害者の外出支援を主とする同行援護サービスの利用状況を緊急的に把握することを目的として実施しました。
その結果、感染者数が増加傾向を示した第一回緊急事態宣言後の2020年 6 月以降でも、同行援護サービスの利用者数は 91.9~96.5%の間で推移し、2020年10 月から年末にかけて感染者が急増した時期も同サービスの利用者数は同期した減少はなかったことが分かりました。また、本調査の結果からは、コロナ禍において、同行援護サービスは主に基本的な生活を維持するために利用されていたことが明らかとなりました。
同行援護サービスでは視覚障害者が同行援護従業者の肘や肩を触り移動に必要な情報を入手するためソーシャルディスタンスの確保ができないことから感染に対する不安が生じるなど、コロナ禍の状況において社会的な困難を視覚障害者が感じていることも示されました。
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https://www.nuhw.ac.jp/research/2022/04/test.html
【研究者からのコメント】
コロナ禍の同行援護サービスにおいては視覚障害者、同行援護従業者ともに感染予防の基本になるマスクの着用と手指消毒が徹底されていました。加えて視覚障害者、同行援護従業者、事業所の連携した取り組みの中に、感染予防対策への様々な工夫がありました。今後は調査を継続し、感染予防対策の具体的事例を収集し、広く共有していくことが大切になると考えています。
【原著論文情報】
岸哲志, 前田史篤, 奥村俊通, 生方北斗, 多々良俊哉, 田内雅規, 田淵昭雄: コロナ禍における視覚障害者の同行援護サービスに関する実態調査. 眼科臨床紀要 15: 2022. in press.
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