「ロボットスーツHAL」とは、筑波大学の山海教授が開発した装着型のロボットで、筋肉を動かそうとする際に発生する脳からの電気信号を皮膚表面で検出し、コンピュータ制御された各部モータを作動させて人の動きをアシストする画期的なロボットです。既に医療福祉施設等での導入事例もあり、リハビリテーションの現場での患者さんへの利用(立ち上がりや歩行のアシスト)や、介護現場での職員への利用(身体的負担の軽減など)など、様々な場面での活用が期待されています。
今回、兼ねてからロボットスーツに高い関心を持たれていた総合リハビリテーションセンター みどり病院院長 佐藤 豊先生が発起人となり、本学の運動機能プロジェクト研究センターとの共同企画として実演会が開催される運びとなりました。
当日は、ロボットスーツHALの普及および販売代理店を務める大和ハウス工業(株)の担当者をお招きし、そのメカニズムや実用事例などをご説明いただきました。会場には、本学教員や在学生をはじめ、近隣の医師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士といった専門職の方々、また車いす利用者やそのご家族など、60名近くの方が来場し熱心に説明に聞き入っていました。
概要説明の後に行われた実演では、まず健常者の方が装着しその効果を体感いただきました。その後、脊髄損傷の患者様へ装着いただき、理学療法士2名の補助のもと、椅子からの立ち上がり、歩行、階段昇降などが行われました。
装着にご協力いただいた患者様からは、「電気モータの補助により、立ち上がりの動作はずいぶん楽になった」「普段は両腕の力を使い杖にかなりの力を入れて歩いていたが、ロボットスーツのアシストにより両腕への負担が軽減された」などの感想をいただき、その効果に驚いた様子でした。
一方、「座る際に少し抵抗力を感じた」「杖を使用した歩行動作が日常的になっているため、慣れるまでに十分な練習が必要」など、今後の実用化や開発に向けた貴重な意見を頂くことができました。
質疑応答では、それぞれの専門職の立場から活発な意見交換が行われ、医療福祉分野でのニーズや関心の高さが伺えました。また、会の随所では参加した本学学生に向けて、医学的な専門用語や可動原理などの補足説明が行われ、学生にとっても有意義な時間となったようです。
ロボットスーツHAL福祉用の詳細は大和ハウス工業株式会社ホームページにてご覧いただけます。
>>http://www.daiwahouse.co.jp/robot/
<写真上から>
・理学療法士に装着し、アシストの効果を体感
・実際の患者様による装着体験
・立ち上がり動作では「随分楽になった」とのコメントも
・歩行にもチャレンジ
・専門的な質問に対応する大和ハウス工業(株)の担当者(左)と当日の進行を担当した義肢装具自立支援学科の江原学科長(右)