大槻智史さん(修士課程2年生,神経生理Lab,運動機能医科学研究所)が第27回脳機能とリハビリテーション研究会学術大会で一般演題優秀発表賞を受賞しました。
[発表タイトル]
脳卒中後疼痛モデルラットにおける扁桃体-島皮質経路の神経活動の変化-
[研究概要]
脳卒中後に生じる異常な痛みのメカニズムは明らかになっていません。
病態基盤の解明のため、当該病態を再現した齧歯類や非ヒト霊長類モデルを対象にした研究が進められています。
当該モデル動物を用いた脳機能イメージング法にて痛みや情動処理に関与する島皮質、扁桃体の神経活動の増加が確認されていますが、この領域間の電気生理活動を直接計測して比較した報告はありません。
本研究では慢性疼痛に関与するとされる扁桃体中心核を電気刺激して、島皮質から局所細胞外電位を計測しました。
その結果、脳卒中後疼痛モデルラットは健常ラットよりも局所細胞外電位の振幅が増加していることを発見しました。
扁桃体中心核-島皮質経路の神経活動の増加が脳卒中後に生じる異常な痛みに関与すること示唆する結果となりました。
[大槻さんからのコメント]
脳卒中の治療やリハビリでは運動障害や感覚障害、高次脳機能障害に目が行きがちですが、原因不明の異常な痛みで苦しんでいる患者さんもたくさんいます。
本研究で行った実験だけでは、扁桃体-島皮質経路の神経活動の増加が脳卒中後の異常な痛みに関与するということまでは言及できません。
この実験結果が病態基盤の解明や治療法の開発の一助になるように追加実験を進めていきたいと思います。
本研究を行うにあたり、実験手技や学術的な知識の指導、実験動物、実験機器等の購入をして頂いている長坂先生、大鶴先生、大西先生には誠に感謝申し上げます。
また、本研究で使用した実験動物にも感謝したいと思います。
[発表者]
大槻智史,長坂和明,大鶴直史,大西秀明
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