「話す」「聞く」「食べる」の喜びを取り戻す
言語聴覚学科
風間 美華
卒業年 |
:2014年3月 |
出身高校 |
:新潟県・新潟中央高校 |
勤務先 |
:新潟県・社会医療法人 桑名恵風会 桑名病院 |
職種・職位・資格 |
:言語聴覚士 |
私が勤務する桑名病院は、主に脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の患者様を対象とし、病気を発症したばかりの方から日常生活や仕事に戻るために長期間入院が必要な方など様々な方が入院しています。その中で、私は病気を発症したば かりの患者様を担当しています。上手く言葉が出てこなかったり、食べ物が飲み込めなかったり、新しいことが覚えられなかったりする患者様の評価・訓練、また必要に応じて患者様本人やそのご家族に日常生活のアドバイスを行っています。
- 喜びややりがいを感じるのはどんな時ですか?
- 経口で食事ができず、寝たきりの状態だった患者様が、リハビリを通して次第に元気になり、自分でスプーンを持って食事ができるようになった時は本当に嬉しく感じました。ご家族も一緒に喜んでくださり、その姿に感無量でした。些細なことですが、患者様が自分の名前を覚えてくれたり、院内で会うと手を振って声をかけてくれたりすることも嬉しく感じます。患者様と関わっていく中で、辛いこと以上に嬉しいことがあり、日々仕事を頑張る糧になっています。
- 高校生へ一言お願いします。
- 言語聴覚士は、人と関わる機会が多い仕事だと思います。患者様やそのご家族と接するだけでなく、様々な専門職と連携していく仕事です。そのため言語聴覚士は、人と関わることが好きな人、人の役に立ちたい人にとてもおすすめです。そして、どんな仕事よりも人との繋がりが実感できる仕事だと思います。言語聴覚士を目指したいなら、全国トップクラスの国家試験合格率を誇り、他学科と連携して「チーム医療」を学ぶことができる本学科は魅力ですよ!
- 言語聴覚士を目指したきっかけは何ですか?
- もともと漠然と医療・福祉関係の仕事に就きたいと思っていました。小学生の頃、祖母が脳梗塞で入院した際に、笑顔がとても素敵な言語聴覚士さんに出会いました。実際のリハビリ場面を見学したわけではありませんでしたが、私たち家族にも優しく接してくれたことが子どもながらに印象的で覚えています。その後言語聴覚士という仕事を調べた際に話すことなどコミュニケーションに問題がある方々の支援をする仕事と書いてありました。人と話すことが好きな私にとって、それを失うことは辛いことだと感じ、そんな方々のお手伝いができるといいなと思い、現在の仕事を選びました。
- 本学で学んだこと、身につけたことは、現在の仕事にどのように活かされていますか?
- 大学での講義はもちろんのこと、実習が1番現在の仕事に活きていると思います。大学で講義を受け、たくさん勉強はしてきているつもりでしたが、実習に出ていざ患者様と関わってみると自分の知識不足、評価不足、関わり方の難しさを痛感させられました。実際に働くことになるであろう、病院という場所の空気感を実感することができ、実際に患者様と関わることができる良い機会です。また、大学時代は様々なアルバイトに勤しみました。アルバイトと大学の勉強を両立させ時間の使い方を学びました。大学以外でも様々な年齢の人と関わることでコミュニケーション能力を養いました。
- 今後の目標や将来の夢について教えてください。
- 病気の後遺症によってうまく言葉が出てこなくなってしまうケースがあります。そのような方々が自宅に退院された後、会話をする機会を設けるため、社会に出る機会を設けるための失語症友の会というものが当院にはあります。病院で働いていると、退院後の患者様の生活の様子を知る機会はなかなかありませんが、退院後患者様がこの会に参加してくださることでどのように毎日を送っているのかを知る場となります。また、患者様からは退院後に同じような症状を持った人が集まって話す機会があって嬉しい、困ったことがあるとそこで相談ができるなどと好評の声をいただいています。今後、失語症友の会の活動が盛んになり、社会のニーズに合わせて地域に進出していけるといいなと思っています。