研究結果:
ハムストリングスは姿勢の変化に応じて3つの異なる機能を発揮することを解明
研究内容の概要:
ハムストリングスは歩行動作やランニング動作、跳躍動作を行う上で重要な役割を担っていると考えられています。悪性腫瘍の治療のためにハムストリングスを切除した対象者では円滑な歩行動作を実施することが難しくなり、ランニング動作やジョギング動作をできなくなってしまうことが報告されています。また、ランニング速度を向上させるためにはハムストリングスの強化が重要であることも報告されています。
ハムストリングスは解剖学的な知見からは膝関節屈曲・股関節伸展筋として作用することが知られています。しかし、いくつかの先行研究ではハムストリングスが膝関節伸展筋もしくは股関節屈曲筋として作用する可能性が提示されてました。ハムストリングスが解剖学的な筋機能とは異なる筋機能を発揮するためには「ハムストリングスが力を発揮する際の姿勢」が重要であると報告されています。しかし、実験的な方法(対象者を特定の姿勢に固定し、ハムストリングスを電気刺激する方法)では無数にある姿勢条件の全てを扱うことが難しいといった問題点がありました。
そこで本研究では実験条件を統制でき、考えうる限り全ての条件を検証可能なコンピューターシミュレーションを用いることで、姿勢の変化に伴いハムストリングスの筋機能がどのように変化するのかを検証しました。その結果、ハムストリングスは姿勢の変化に応じて3つの異なる筋機能を発揮することが明らかとなりました。
徳永さんからのコメント:
ハムストリングスは解剖学的には膝関節屈曲・股関節伸展筋として作用することが知られています。しかし、いくつかの先行研究では膝関節伸展筋もしくは股関節屈曲筋として作用する可能性が提示されていました。ハムストリングスが解剖学的な筋機能とは異なる筋機能を発揮するためには「ハムストリングスが力を発揮する際の姿勢」が重要であることはわかっていましたが、それがどういった姿勢なのかという点は明らかとなっていませんでした。そこで本研究ではコンピューターシミュレーションを用いて姿勢の変化に伴うハムストリングス機能の変化を解明することを試みました。
本研究の結果より、ハムストリングスは姿勢の変化に伴い3つの異なる筋機能を発揮することが明らかとなりました。この知見は、ハムストリングスは常に固定された筋機能を発揮するのではなく、動作遂行中の姿勢の変化に応じて筋機能を変化させていることを意味しています。本研究の知見は、筋機能に関する知識を拡大することで、アスリートのパフォーマンスの向上、リハビリテーション計画の立案といった場面への波及効果が期待できると考えています。
この研究成果をThe 10th Asia Conference on Kinesiologyにおいて報告したところ、Young Investigator Award 3rd place in oral presentationを受賞することができました。英語での口述発表は今回が初めてだったので大変なことも多かったのですが、自分の研究成果が評価されてことは大変うれしく思っています。この経験を励みにして、これからも研究活動に邁進していこうと考えています。
本研究成果のポイント:
①コンピューターシミュレーションにより姿勢の変化に伴うハムストリングス機能の変容を明らかにした点.(図の青いエリアが膝関節伸展・股関節屈曲筋として、赤色のエリアが膝関節伸展・股関節伸展筋として,緑色のエリアが膝関節屈曲・股関節屈曲筋としてハムストリングスが作用することを意味している)
図
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/190829.pdf (26.6KB)