【研究概要】
ASMR(autonomous sensory meridian response)は、若者の間で人気が高まりYouTubeなどで動画再生回数が伸びています。ASMRでリラクゼーション効果が得られる報告は多くありますが、種類が多岐にわたり個人の好みが偏っています。我々はこの個人差に着目し、個人の好みに合ったASMR動画がもたらすリラクゼーション効果の神経科学的根拠を解明しました。課題遂行中の脳機能を機能的MRIの手法で撮像を行いました。解析の結果、好きなASMRを視聴したときだけ扁桃体と中前頭回、左右島皮質の脳内活性化部位が特定されました。これらの部位は、大脳辺縁系ドーパミン回路への関与と自律神経バランスが整ったと考えられます。このことは、個人の好みに合ったASMRを利用することがより効果的であり、ポジティブな気分を得られることが明らかとなりました。今後は、不安およびうつ病患者の治療として利用される可能性が示唆される。
本研究は、雑誌『 Frontiers in Human Neuroscience』に掲載されました。
【研究者からのコメント】
手軽に利用できるASMRですが効果的に利用するには個人の好みが大きく関与していることが明らかとなりました。今後は、脳機能だけでなく不安の程度なども検討することでメンタルヘルスケアにもつなげていけると考えています。
【本研究成果のポイント】
1、本学科メディカルイメージングセンターに設置の3テスラMRI装置で機能的MRI撮像を行いました。
2、コントロールと好きなASMRと好きでないASMRを課題とし機能的MRIを撮像し解析した結果、好きなASMRの課題の時だけ、両側島皮質や扁桃体、中前頭回で活性化がみられました。
【論文情報】
Sakurai N, Nagasaka K, Sasaki K, Yuguchi Y, Takahashi S, Kasai S, Onishi H, Kodama N, The Relaxation Effect of Autonomous Sensory Meridian Response Depends on Personal Preference. Frontiers in Human Neuroscience. 05 Dec 2023. 17:1249176. doi: 10.3389/fnhum.2023.1249176
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