【研究内容の概要】
現在、年齢男女問わずランニングの人気が高まっています、その一方でランニング障害の発生率も増加しています。
ランニング障害のなかでも、膝前面痛が主症状である膝蓋大腿関節痛症候群は発症しやすく、ランニング競技のアスリートだけではなく、一般的に趣味としてランニングを楽しむランナーにも頻発します。膝蓋大腿関節痛症候群の患者さんに対して、内側広筋のトレーニングが良いとされていましたが、その有効な背景は不明でした。
そこで、本研究は数理モデルを用いたシミュレーション研究にて、内側広筋の筋力と膝蓋大腿関節ストレスの関係性を検証しました。内側広筋の筋力低下を惹起させた条件では、膝蓋大腿関節ストレスが高まることが明らかになりました。
本研究成果は国際誌「Acta of Bioengineering and Biomechanics」に掲載予定です。
【研究者からのコメント】
近年ではライフスタイルの「健康志向」化に伴い、老若男女問わず世界中でランニングブームが加速しているため、ランニングを安全かつ楽しく実施するためにはランニング障害の治療法・予防法を確立することは重要となります。そのためには、代表的なランニング障害である膝蓋大腿関節痛症候群に対して、予防か有効な治療戦略が重要です。
本研究で、膝蓋大腿関節痛症候群の患者さんに対して内側広筋のエクササイズを実施する意味を示すことができ、エビデンスを考慮してリハビリテーションをすることに繋がると考えています。
【本研究成果のポイント】
どの膝関節屈曲およびモーメントの条件においても、内側広筋筋力低下条件で常に膝蓋大腿関節ストレスが増加していた点。
原著論文情報:Takabayashi Tomoya, Edama Mutsuaki, Inai Takuma, Kubo Masayoshi. Effect of change in patellofemoral joint contact area by the decrease in vastus medialis muscle activation on joint stress. Acta of Bioengineering and Biomechanics. 2023.8 [accepted].
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